要介護の高齢者の中には、身体が思うように動かなくてストレスを溜め込んでいる人が少なくありません。慣れない介護施設での生活により、精神的な疲労を抱えている人もいるでしょう。高齢者はメンタルヘルスの不調が生じやすく、これは精神障害を指しています。働き盛りの世代ではうつ病がよく見られますが、老年期でも多発しているのです。高齢者に見られるうつは、認知症と症状の区別が難しく、判別を誤ってしまうケースが認められています。他にも身体の節々に痛みを感じるなど、さまざまな不具合に悩まされるようになります。人は身体を動かすことが難しくなると、身体がなまってくることに加えて、ストレスを感じやすくなるのです。
高齢者のメンタルヘルスの不調は、生活習慣の大きな変化も要因になっています。現役時代はバリバリと働いていた人が、定年退職して生きがいを失ってしまい、メンタルが不安定になるケースは少なくありません。視覚や聴覚が衰えてくることによるストレスも無視できないポイントです。病気は気からという言葉がありますが、これは高齢者にも該当します。高齢者の心身がアンバランスになっているときは、とにかくゆっくりと休んでもらうのが得策です。介護士がするべきことは、高齢者の話をしっかりと聞いてあげることです。高齢者が訴える悩みに対して、すぐに原因究明をしたり、解決策を提示したりするのではなく、まずは相手の気持ちに寄り添うことが重要になります。